なろう系小説から現代人の望みを考えてみるブログ

なろう系小説は現実逃避ツールなの?現代はそこまで不幸な世の中なの?小説家になろうから現在人の望みは何なのかを考えてみるブログです。

『必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない』備忘録兼感想

ジャンル:ダンジョンマスター系チート
読みづらさ:4
チート度:5
ハーレム度:5
ドラゴンボール感:2
シムシティ感:5
また俺何かやっちゃいました度:2
近う寄れ度:5
現代的価値観の侵食:4


ダンジョンマスター系のなろう作品としてはかなり長期に渡って書いているもので先日(番外編を加えて)1,000話を超えた。

毎日をオタ活で充実させている社会人が神に呼ばれ、別の世界を救ってほしいと依頼される。
ガンダムRX-78アーマード・コアのホワイト・グリントを報酬として頑張るお話。

この物語の一番の見どころは主人公のクレバーさである。
主人公がなろうによくある絶対安心なヒーローとして描かれるものは多いが、「ああ、そう来るのか。」という思いもよらない解決法を使う場面がよくある。


ダンジョンマスターものではもはやテンプレとなった人間牧場のシステムを使いシムシティ的な街が育っていく楽しさや現代知識を使い内政チートもバンバンと使っていくのも面白い。
思わぬ方法で困難を切り抜けていく主人公の問題解決術には毎回爽快感がある。

むしろこの物語全体を通して言えることだが、どこか作者は「仮にこんな世界が存在したら決まった枠組みでどんな抜け道が作れるのだろうか?」と話を作っているような気がする。
言ってみればなろうによくある中世風魔法有り世界(いわゆるナーロッパ)を作り出し、そこで様々な思考実験をすることを楽しんでいる感すらある。
このどうしたら上手に物語を着地させるか、登場人物みんながハッピーエンドになるのか、の問題解決能力が他のダンジョンマスターものとは一歩抜きんでていると思う。


その他、特徴としてはサブキャラクターがかなり多く、把握しずらい。

初期の方で奴隷を一度に八人購入した上に、番外編だけでなく本編でそれぞれの視点から物語を綴るという方法をとっているので、各回毎に視点が変わっていくので誰が誰やらと読み直す羽目になる。
登場人物を覚えるのが苦手な人はかなり読むのに苦労するだろう。


そしてなろうによくある「嫁」問題。
これも珍しく正式な嫁が10人を超える。

他のつまらない作品でよくある主人公がむやみやたらにモテまくりハーレムを作っていくというものとは違い、この『必勝~~』では各キャラクターの視点から何故主人公に惹かれていったかやその背景も丁寧に描かれるので、それほど無理を感じない。
というより、かなり現実的な理由から嫁が増えていることすらある。

主人公が偉くなったのに他社に対してそれほどかしこまった態度をとって欲しくない「近う寄れ度」と現代文化を知っているから出来るジョークを言ったりする「現代的価値観の侵食」が高めではあるが、この作品に限ってはしっかりした理由があるのでそれほど気にならない。


まとめて評価すると、癖はあるもののしっかり読み込むと面白い、一言でいうと「なろう界のジョジョ」の様な作品だと思う。


登場人物が多いので分かりやすいコミカライズを期待していたが、そこは残念だった。結局読みずらい。

あとゴブリンのスティーブ回は好きなので、活躍する機会を増やして欲しい。